2013年3月18日

口の細くなった赤いホーローのポットから、
ポタポタとコーヒーにお湯を垂らす。
窓の外では南風がゴウゴウと唸りを上げて吹き荒れて、
大雪の日にへし折れて放置されている木を、
バサリバサリと揺すぶっている。

仙台〜東京を股にかけて
丸二日間、途切れる事なく飲み通した割には、
それほど酷い二日酔いというのでもなく、
ただただ黒い小さな塊のようなものになった気分で、
何も考えずに放心している。
明滅する場面。残像。

仙台では俺のような人間は
決して足を踏み入れる事のないオシャレなカフェを、
いつもの如く、
騒音と喚き声の泥酔地獄に叩き落として来た。
集まってくれて、聴いてくれたみなさん、
本当にありがとうございました。
あまりの酷さに驚いた方もおられるかと思いますが、
アレが掛値なしの姿なのです。悪しからず。
会場及び企画関係者のみなさん、
大変お騒がせ致しました。
アンプの音量を下げて欲しいとの要請を、
承った上で、
実は受け入れませんでした。すみません。
終演後、
深夜の国分町を一人はぐれて彷徨って、
夜の冷え込みが骨身に沁みた。
小一時間ほどウロウロ歩き回って、
なんだか諦めたような気持ちになって、
宿に帰って寝ました。

朝の新幹線で帰ってきて、
そのまま西荻窪で昼間からギネスで飲み直し。
同僚の二宮メンバーのソロ「とんかつ」を聴きながら。
改めて彼の無二の味わい深さと才能に脱帽。
なにかまた、新しいアプローチの糸口が掴めそうな予感。
良い音楽に触れると生き返るような気持ちになるなあ。
久々に会う郷里の友人達との北海道弁グルーヴも楽しかった。

それからあちこち飲み荒んで、
なにをどうして来たのやら、
倒れ込むように就寝。
何時に寝ても決まった時間に目が覚めて、放心。

風がゴウゴウと唸っている。

心の底の小さな灯。
それは喜びでも悲しみでもない。
善でも悪でもない。
希望でも絶望でもない。
ただただ点る灯。
それを見つめている。