西から寒気が来ているとかで、
今日の岡山は朝から寒い。
九階の部屋の窓からは岡山駅まで見渡せて、
近くの役場のような建物の上で日の丸の旗がユラユラと揺れている。
空は晴れたり曇ったり。
小腹が空いたので、
コンビニで購入してきたスープパスタのようなものに
熱湯を注いでグルグルとかき混ぜていたら、
プラスチック製のスプーンがあっという間に変な形にひん曲がってしまった。
それを用いて変な具合にスープを啜っていると、
腹の底から侘しさが込み上げて来て、
いっそ駅まで走って、
どこか知らない所まで遁走してやりたい気持ちになったけれども、
どーにかこーにか、
その気持ちをスープパスタと共に飲み下している。
と、けたたましいサイレンの音が鳴り響いて、
眼下の商店街の入り口に続々とパトカーが集まって来た。
何やら大捕物らしい。
警官が沢山いる。
しかし、野次馬に降りて行く気力がない。
暫くの間、何やらゴニャゴニャとやっていたけれども、
ほどなく数人の警官を残して皆消えていった。
あまり興味も湧かない。
ここが何処なのか、
自分が誰なのが、
何だか妙に曖昧になっていくように感じて、
フテ寝の気分でゴロリと横になる。
時間がくれば今日もまた、
限界ギリギリまで炎上する事になっている。

新潟から長野へ、
長野から金沢、
そして岡山。

行けども行けども、まだ行く旅。
二度とない今日だ。
虚しさも、侘しさも、丸飲みして楽しまなくては。

一瞬曇って、また陽が差してきた。
路面電車の走る音。
信号機の電子音。
遠くに救急車のサイレン。
そろそろ出発の時間です。
旅は続く。