2012年7月29日

目ヤニで目が見えん。
爬虫類の瞼のようにウッスラと膜がかかって濁る視界。
テレビの中では見事な筋肉の若者が
首のない馬のようなものの上で、
足をピーンと伸ばしてクルクルと小気味好く回っている。
何を競っているのか俺には判然としないけれども、
その様子は見飽きない。オモチャみたいで面白い。
回転の途中で不意に馬から降りてしまう若者。
あ!と大きな声が出てしまう。
スポーツ観戦をしていると大声を出してしまうのを
押さえることが出来ない。
俺は大声を出すことで生計を立てているので、
「あ!」一発の音量が物凄くデカイ。
窓は全開。相当な近所迷惑になっているのではないだろうか。
ご近所さん、すみません。
でもお宅からも良く「あ!」とか「わあああ!」とか聴こえてきますよ。
燃えてんのね。うふふ。

誰よりも鍛錬を積んで尚、
本番で結果を出せない事もある。
見事な勝利にも当然感動するけれども、
予想外の失敗や敗北にこそ人間のドラマを感じて、
むしろそっちの方に強く心が揺り動かされる事が多い。

失敗したって、敗北したって、
恥じる事なんてないんだよ。
命一杯楽しんで、
胸張って帰ってコーイ。

「つるかめ?鶴亀算のこと?ああ、お店のつるかめなー」
「あそこは昔、東急ストアだったんだよ。裏にエロ映画館があったよ」
「ご近所さんなんだー。じゃ狼煙上げて。すぐ行くから」

深夜のフラッシュバック。
俺はいつでも空を見上げている。
狼煙を上げてくれ。
速攻で駆けつける。